１ 事故の発生
事故の発生
（１）「被害者側」
本サイトでは，「被害者側」の立場に立った説明をします。交通事故の被害者が負傷している場合は，その応急措置といっても，被害者自身が実行することが困難な場合が多いでしょう。
そのため，ここでは，仮に被害者本人が対処できない場合には，その関係者が応急措置を行うという意味で，「被害者側」の言葉を用います。
（２）加害者の確認
交通事故によって負傷した場合や物を壊された場合，被害者側は，加害者側に対し，被った損害の賠償を請求することになります。そのためには，まず自己に有利な証拠の確保が大切です。
相手車両の番号，運転者の氏名の確認，互いの車等の損傷状況，目撃者の氏名の確認をしましょう。
特に，加害者側が誰か分からなければ，損害賠償請求することが困難となります。誰が加害者側であって誰が責任を負うのか知っておく必要があります。
交通事故において損害賠償義務を負うのは，通常の場合，加害車両の運転者，その運転者の雇い主，加害車両の所有者など，自動車を運行のように供している者（「運行供用者」といいます。）が考えられます。
したがって，被害者側としては，少なくとも，加害車両の運転者の氏名・住所を確認する必要があります。
相手の運転者の氏名を確認する際は，自分の免許証などを示し，相手に免許証（名刺では不十分）の呈示を求めるとよいです。
そして，加害車両の登録番号や所有者との関係，当日の運転目的を確かめて下さい。
さらに，できれば，加害車両の普段の使用状況を確かめることができれば，満点です。
加えて，保険会社に対し，被害者請求をする場合に備えて，自賠責保険や任意保険の会社が分かれば，なお良いでしょう。
加害車両の所有者や保険内容等を確かめるためには，「自動車検査証」「自動車損害賠償責任保険証明書」の提示を求めれば足ります。
もし，加害者側がこれらの提示を拒んだ場合には，加害車両のナンバープレートの番号を手帳やメモ用紙に記録しておけば，陸運局に問い合わせれば，分かりますので，慌てないで下さい。
（３）現場保全・証拠収集
交通事故による法律上の問題に対処するため、証拠収集などして事故の原因を明らかにする必要があります。前提として、交通事故の現場を保全する必要があります。警察の実況見分が終わるまでは、現場をできるだけそのままにしておきましょう。
証拠の収集は警察官が捜査をし、実況見分調書や関係者の供述調書を作成したりして行いますが、民事事件ではこれを常に利用できるわけではありません(不起訴処分の場合、利用できるのは原則として実況見分調書だけです)。そのため、独自に証拠を収集しておく必要があります。
まず、事故状況を記録する必要があります。事故車両を移動するような場合、もとの位置を確認することが必要です。可能であれば、第三者の立会いを求めるとよいです。
記録の際には写真を使いましょう。携帯電話でも構いません。記録するポイントは、衝突した場所、衝突した車の部位、被害者の転倒地点、関係車両の停車位置、スリップ痕、血痕、車両損壊の程度等です。また、事故発生の日時、天候、道路の状態、交通量等の当時の状況、交通標識の有無等も記録しましょう。
次に、目撃者や相手方等の供述を聞き、書き留めるべきです。時間の経過によって、記憶があいまいになり、供述内容が変わってしまう恐れもあるからです。
手許にメモ帳がなくても大丈夫，携帯電話で覚書を作成して，ご自宅などのパソコンにメールを送信すれば，記録した時間まで正確に残せます。
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