大阪の弁護士が交通事故の損害賠償額の算定方法を明らかにします。交通事故の相談は,南森町佐野法律特許事務所へどうぞ。 |
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3 慰謝料 (1)死亡慰謝料 (注意事項) 交通事故の損害賠償を構成するものとして次のものがあり,慰謝料もこのうちの一つです。 1 積極損害 2 消極損害 3 慰謝料 4 物的損害 5 その他 3 慰謝料には,次のものがあります。 (1)死亡慰謝料(このページで説明します。) (2)入通院慰謝料(次ページ以下で説明します。) (3)後遺障害慰謝料 (1)死亡慰謝料( ここでは,死亡慰謝料に関する緒論点について触れます。 a 死亡慰謝料は,被害者の死亡によって当然に発生し,これを放棄,免除する等特別の事情が認められない限り,被害者の相続人が相続します。 b 慰謝料額は,一切の事情を考慮して定められるので,考慮される事情は算定基準に掲げられた者に限らない。 なお,一家の支柱の定義につき,例えば,独身者であるが高齢の父母に仕送りをしていた場合,一家の支柱にあたるかという議論があります。 しかし,独身者であるが,高齢の父母に仕送りをしていたという事実を前提として,その他一切の事情を斟酌して慰謝料額は決められることから,一家の支柱の定義に当てはまるか否かは,議論として意味があるとはいえません。 c 近親者固有の慰謝料は,近親者自身が被った精神的苦痛について野之であるから,被害者の有する慰謝料請求権とは別の訴訟物であるが,被害者の慰謝料請求権の斟酌事由としては,近親者が受けた精神的苦痛も考慮されているのであり,被害者の慰謝料請求権と近親者固有の慰謝料請求権は重なり合うものがあること,近親者の多くは,死亡した被害者の慰謝料請求権を相続しており,固有の慰謝料請求権を行使したか否かによって慰謝料額に差が生じるのは相当ではないことから,死亡慰謝料は本人分及び近親者分を含んだものとして基準額が定められています。 d 文言上民法711条に該当しないものであっ下も,被害者との間に同条所定のものと実質的に同視しうべき身分関係が存し,被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は,同条の類推適用により,加害者に対し直接に固有の慰謝料を請求することができます。 e 事故により受傷し,慰謝料につき示談が成立した後に,事故を原因として死亡した場合の慰謝料請求権について,次の判例を参照してください。
主文
原判決中慰籍料請求に関する部分を破棄し、右部分につき本件を広島高等裁判所に差し戻す。 その余の部分に関する上告人の上告を棄却する。 前項に関する上告費用は、上告人の負担とする。 理由 上告人の上告理由第一点(一)、(二)について。 所論中違憲をいう点は、実質は単なる法令違反の主張に帰する。しかし、原判決挙示の証人Dが裁判長の許可を受けず、メモに基づいて供述したとの所論は、記録上これを認めるに足る証跡なく、民訴法二九九条違反をいう論旨は前提を欠き、採るを得ない。また、当事者の申し出た証拠が唯一の証拠でない限り、それを取り調べるか否かは裁判所の裁量に属し、所論証人が唯一の証拠でないことは記録上明らかであるから、原判決には民訴法二五九条、二七一条違反の点はなく、この点に関する所論も採るを得ない。 同第一点(三)、第二点、第三点について。 所論中違憲をいう点は、実質は単なる法令違反の主張に帰する。 ところで、原判示調停においては、被上告人が上告人の母E(右調停の申立人のうちの一人)に対し五万円を支払い、その余の申立人らに対しては別途考慮するという趣旨で合意がなされたものであることは認められず、かえつて、申立人全員に対し五万円を支払い、申立人らはその余の請求を放棄する趣旨を、調停の当事者双方が了解の上調停が成立したことが認められる旨の原審のなした認定、判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認できる。それ故、原審が認めることができないとした右事実を前提として右調停の無効をいう諭旨は、原審の認定に副わない事実に基づく主張であり、前提を欠くものであつて採るを得ない。 次に、原審は、右Eが自宅附近の道路を横断中、被上告人が営む荒物卸売兼小売業のために使用していた使用人Fの運転するオートバイに衝突して負傷したこと、そして右E、G、H、A(本件上告人)の四名を申立人とし、B(本件被上告人)を相手方とする倉吉簡易裁判所昭和三六年(ノ)第一五号損害賠償調停事件において、昭和三七年二月八日相手方は申立人らに対し五万円を同月二八日限り申立人A(本件上告人)宅に送金して支払うこと、申立人らはその余の請求を放棄すること等を内容とする調停が有効に成立したことを確定している。ところで、本訴は、上告人が右調停を無効であると主張すると同時に、Eは右負傷を受け、昭和三七年一二月三日右負傷のため死亡したと主張し、右受傷および死亡により上告人の受けた損害につき、慰籍料三〇万円の支払および上告人が本件事故発生の報に接して帰郷し、Eの治療処置、家事の処理等に当つた昭和三四年三月二四日ないし同年六月ニー日までの問における合計三一日間の日当金三万一千円相当の財産上の損害の賠償の支払を求めるものであるところ、原判決は、本件事故による損害賠償請求については、上告人、被上告人間に既に前述の調停が有効に成立しているので、当事者は、右調停の趣旨に反する主張ができず、裁判所もこれに反する判断ができないから、本訴請求中右調停において認容された部分は訴の利益を欠き、その余の部分は請求の理由がないことに帰するとして、上告人の請求を棄却したものであることは、原判文上明らかである。しからば、原判決は、上告人が本訴において主張するEの受傷および死亡による双方の損害につき、既に右調停において、判示のような条項の調停が有効に成立した旨を認定、判断したものといわなければならない。 しかして、Eが昭和三四年三月二四日受傷し、同三六年五月、受傷者たるE本人および上告人ら合計四名によつて調停が申立てられ、同三七年二月八日被上告人は右四名に対して五万円を支払い、右四名はその余の請求を放棄する等の内容の調停が成立したことは前記のとおりであり、また、上告人の主張によれば、受傷者Eは右調停成立後約一〇.月を経過した同年一二.月、右受傷を一因として死亡したというのである。してみれば、右調停は、Eの受傷による損害賠償については有効に成立したものと認められ、従つて、本訴において上告人の訴求する三万一千円の財産上の損害賠償請求は、右調停において既に解決済であり、上告人の右財産上の損害賠償請求権を、本訴において主張することはできないものというべきであつて、この点に関する原判決の判示は結局正当と認められる。しかし、精神上の損害賠償請求の点については、Eおよび上告人らは先ず調停においてEの受傷による慰籍料請求をし、その後Eが死亡したため、本訴において、同人の死亡を原因として慰籍料を請求するものであることは前記のとおりであり、かつ、右調停当時Eの死亡することは全く予想されなかつたものとすれば、身体侵害を理由とする慰籍料請求権と生命侵害を理由とする慰籍料請求権とは、被侵害権利を異にするから、右のような関係にある場合においては、同一の原因事実に基づく場合であつても、受傷に基づく慰籍料請求と生命侵害を理由とする慰籍料請求とは同一性を有しないと解するを相当とする。ところで、右調停が、原判決のいうように、Eの受傷による損害賠償のほか、その死亡による慰籍料をも含めて、そのすべてにつき成立したと解し得るためには、原判決の確定した事実関係のほか、なおこれを肯定し得るに足る特別の事情が存し、且つその調停の内容が公序良俗に反しないものであることが必要であるといわなければならない。けだし、右Eは老齢とはいえ、調停当時は生存中で(なお、上告人の主張によれば、前記のとおり、調停成立後一〇月を経て死亡したという。)、右調停はE本人も申立人の一人となつており、調停においては申立人全員に対して賠償額が僅か五万円と合意された等の事情にあり、これらの事情に徴すれば、右調停においては、一般にはEの死亡による慰籍料についても合意したものとは解されないのを相当とするところ、この場合をもつてなおEの死亡による慰籍料についても合意されたものと解するためには、Eの受傷が致命的不可回復的であて、死亡は殆んど必至であつたため、当事者において同人が死亡することあるべきことを予想し、そのため、死亡による損害賠償をも含めて、合意したというような前記のごとき特別の事情等が存しなければならないのである。しかるに、原判決は、このような特別の事情等を何ら認定せずして、Eの死亡による慰籍料の損害賠償をも含めて合意がなされたとし、本訴請求を排斥したものである。しからば、原判決には、判決に影響を及ぼすことの明らかな審理不尽、理由不備の違法があるものというべく、論旨はこの点において理由があるに帰する。原判決はこの点に関して破棄を免れず、更に審理を尽さしめるため右の点に関する本件を広島高等裁判所に差し戻すべきである。 よって、民訴法四〇七条一項、三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 入通院慰謝料のページへ 南森町佐野法律特許事務所では,次のサイトを運営しています。 交通事故の全体の概略については, 交通事故について説明するサイト 交通事故の交渉などについて説明するサイト 南森町佐野法律特許事務所の本店サイト を参考にして下さい。
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